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歴史game のお話 其の106


クリスタルロッドさん
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将星録 大内リプレイ 第5回

将星録 大内リプレイ 第5回

 先回は毛利軍を相手に散々な目にあってしまいましたが、今度はただではすまさないぞと新たな戦略を考案中です。しかしその前に、我が軍の力不足をなんとかしなくてはなりません。とりあえず短期間でできそうなことは、百地三太夫を部将に昇格させることと、陶晴賢を家老に、そして弘中隆兼を宿老にすることが手っ取り早そうです。あとは折を見て、弘中が移動力の修行を済ませば大内軍はかなり強力になるはずです。
 現在の大内家と毛利家と比較すると、経済力では圧倒的に大内家が勝り、城の兵士数も大内家が34000ほど、毛利家が23000ほどで、このまま消耗戦に持ち込めれば勝てる計算ではあります。しかし軍勢を率いる武将の質を比べると、大名の毛利元就、宿老の吉川、小早川両川が非常に強力で、横から不意打ちをしてもダメージが少なく、2ターン目からは強力な反撃を喰らい、こちらの弓攻撃もはじき返されてしまいます(特に吉川)。しかも3人とも知謀が高いために、挑発、火計などで揺さぶられ、追いつめても酒盛りで逃げられることが多くて彼らを撃破するのはかなりの困難が予想されます。したがって前述の主力の昇格を行った上で、満を持して攻勢に出なくてはなりません。
 幸い毛利家は山口城に散発的な攻撃を繰り返してくれるので、勲功稼ぎができて大助かりです。それに運良く捕らえて配下にできた武将もあり(乃美宗勝、児玉就方)、我が軍の強化と毛利家の弱体化が進みつつあります。
 果たして毛利の息の根を止めることができるのか、そしていつ九州に進出するのか、この辺の見極めが非常に重要な局面だといえます。

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雄伏−1564年

 ということで毛利への総攻撃を行う前に我が軍の強化をすることになり、しばらく内政などをしました。この間に阿蘇惟将の移動力修行が済み、朝廷工作を大内義長と交代しました。山口城に帰ってきた義長は、自ら移動力の修行をしながらも、叙任可能な官位を家臣に与えることにし、ついでにたまったアイテムを分配することにしました。

〔賞与目録〕

弘中隆兼官位叙任従五位下侍従
家宝授与武器鬼切2等級
馬術書大坪流馬術書4等級
 
天野隆重官位叙任従四位下右近衛中将
家宝授与武器日本2等級
名馬白石9等級
軍記物語平家物語6等級
 
陶晴賢官位叙任従五位下尾張守(そのまま)
家宝授与馬術書荒木流馬術書8等級
忍術書神伝忍術秘書2等級
軍記物語雑兵物語10等級
 
益田藤兼官位叙任従六位下飛騨守
 
百地三太夫官位叙任正四位下宮内卿
家宝授与名馬鬼鹿毛8等級
軍記物語水滸伝3等級
 
阿蘇惟将官位叙任正六位下宮内大丞
 
吉見正頼官位叙任正七位上左衛門少尉
 
内藤隆春官位叙任従七位下西市佑
 
松浦隆信官位叙任従七位上右兵衛少尉
 
吉見広頼官位叙任正七位下左兵衛大尉
 
大内涼子官位叙任正六位上左近将監
(勲功順)

 注)名馬と馬術書は先回配布済みのものです。

 上記の賞与により主要武将の忠誠は100になり、結束の堅い家臣団を作ることができました。あとは機を見計らって毛利攻めを敢行するのみです。

 ・・・それにしても百地の宮内卿って似合わねぇな(笑)

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波状攻撃−1565年12月

 この年の9月から弘中隆兼が移動力修行に入り、これが済んだら一気に吉田郡山攻めに向かう予定だったのですが、なんとまあとんでもない好機がやってきたのです。
 この年は全国的に凶作の嵐が吹き荒れ、なんとか我が領内の被害は防ぎ止めることができたのだが、毛利領内では不作となりました。しかし内政が行き届いているせいか、飢饉や一揆は起こらなかったようです。さすがは毛利、しっかりしておるわと感心していたところ、11月になって、とんでもないことをしてくれました。米相場の急騰に目を奪われて、商人が来た隙に兵糧を大量売却してしまったのです。これで吉田郡山の金蔵は4万以上の金がうず高く積まれましたが、兵糧は残り4000になってしまいました。またもや金に目がくらんだか毛利元就。わしが攻め落としてくれるわ、がっはっは。
 ・・・なんだか弘中隆兼の霊が乗り移ったみたいだ(笑)。しかし彼は移動力の修行中。出陣できなくてさぞや悔しがっていることでしょう。

弘中「なんの、今度は適当に軍を出せば毛利の兵糧は尽きるから楽勝じゃ。みな好き勝手に出陣させればよいわ。」

そうですかそうですか。しかし、適当にやって勝てるのですか?

弘中「おう。たとえ陶殿が独断専行しようが、天野殿の切り込みが鈍かろうが、百地殿が早々に兵を減らそうが、御館様が混乱しようが、かならず勝てるわ。がっはは。」

それはまたずいぶんな言いようですね。彼らが聞いていたらどうするの?

弘中「そんなことはどうでもよい。とにかく負けてもひと月で城に戻り、すぐに出陣して攻めまくるのじゃ。今回はそれで勝てるわ。わしも修行が済んだら軍勢を率いて駆けつけるから、それまで勝手にやってろと伝えてくれ。」

はいはいわかりました。じゃあ山口城の大広間に行くことにしましょう。


 ということでところ変わって山口城。戦支度をしている家臣達に弘中殿からの伝言を伝えると、

「これは自分で思う存分に采配が振るえるということだな。ふふふ。」
百地「毛利家の連中を思いっきり攪乱してやろうぞ。」
天野「皆がきちんと連携しなくて大丈夫だろうか・・・」
大内「今度はしっかり軍勢をまとめてみせるぞ。でもやばくなったらすぐ逃げよう。」

 このままほかっておいて大丈夫だろうか。何だか心配になってきましたが、彼らはもう出陣してしまいました。それではこれから、大内軍の好き勝手戦記をお送りいたします(笑)。

大内「今回は総指揮者がいないから、わしが先頭切っていくとしよう。それ、皆の者我に続けー!」
天野「あらら、御館様だけ先に行っちゃいましたよ。」
「なんの、遅れてなるものか。急げー!」
百地「天野様、我々もはやく行きましょう。」
天野「おう。バラバラになってはまずいから急ぐとしよう。」

 我先にと出陣した大内軍ですが、広島平野に来た所で毛利軍が出陣してきました。今回は毛利元就、熊谷信直、穂井田元清の3将が迎撃してきました。これで吉田郡山城の兵糧は1000ぐらいになっています。予定通りこちらはどんどんぶつかることにします。

大内「わしの5000の軍勢をなめるな。それゆけー!」

 突出していた熊谷軍に突撃をかける大内義長。激戦の末、なんと熊谷を捕らえることに成功しました。

大内「おぬしなかなか立派な面構えをしておるな。どうじゃ、わしの元で、京風の優雅な暮らしをしてみぬか?」
熊谷「なんともったいなきお言葉、これから忠節の限りを尽くしまする。」

 なんと我が軍に取り込むことに成功したのでした。続いて天野隊が果敢に元就隊に突っ込んでゆきます。しかし簡単に返り討ちにあい、名馬白石の力で何とか逃走できました。これも予定通りだと今度は陶軍が追い打ちをかけて、何とか元就を退却させることができました。百地はまだ戦場に到着してないので、次のターンに進むと、残った穂井田隊が大内隊に攻撃してきて、引き分けにはなったものの大内隊は人数が1000ちょっとになってしまいました。さて当初の予定では、
 やられる→1ヶ月で山口城に帰る→すぐ出陣する
ということになっていたのですが、大内義長は何を思ったか、

大内「わしは全滅はいやじゃ。じゃああとはよろしくー」

といって、ボロボロの軍勢を率いたまま山口城へ帰っていきました。そして残った穂井田隊の後始末は百地が長駆移動攻撃で済ませました。さあ、ここで陶の行動ですが、

「西の山奥にある支城が気になる。あれは毛利軍の重要拠点じゃないだろうか。」

そういって陶軍は百地が止めるのも聞かずに山奥へと入っていきました。まだ毛利軍は吉川元春などが出陣してきていたので、ここで軍を2つに分けるのは得策ではないのですが、陶はどうしてもと言って聞きません。それになんかこの展開は厳島の合戦を彷彿とさせて、危うい雰囲気が大内軍を包みます(笑)。
 毛利家の番になり、市川経好隊があと一歩で支城に入れるところだった陶軍に襲いかかります。念のために後ろを向いておいたのが幸いして、何とか引き分けに持ち込みます。さらに吉川元春が南方の百地隊の方に進出してきました。その後方には吉川元長隊も出てきています。
 次は運良く大内家の番になりました。陶軍は損耗が激しく、更に退路を断たれているために、後ろの支城に退くことにします。百地軍は吉川元春の横から攻撃をかけます。これはお互いに大きなダメージを与え合い、引き分けになりました。

 さてここで山口城の状況です。先ほどやられた天野隆重が帰ってきました。

天野「ふうっ、何度戦っても毛利元就は強いな。ちとこの年寄りにはこたえるわ。ところで弘中殿の修行はまだ済んでおらぬのか。」
涼子「まだみたいだよー。」
天野「おおっ、涼子姫ではないか。元気にしておるか?」
涼子「最近農作業ばっかりでいやになっちゃうよー。どうせ土いじりするならガーデンプランナーの方がかっこいいのにねー。」

 このまましゃべらせておくとワケわかんない事ばかり言われると思い、

天野「それより軍議をしなくてはならぬ。手の空いてる者を呼んできてくれんか。」
涼子「はーい。」

 姫が連れてきたのは現在手の空いている内藤隆春、吉見正頼、熊谷信直の3名。これに涼子姫と天野を合わせて5人で軍議をすることとなった。

天野「皆の者、よく集まってくれた。」
内藤「あのー、我が軍の方針ならすでに弘中様からお達しが出てるんじゃないですか?」
天野「それなんだが、御館様が途中で抜け出して帰ってきてるもんだから、城を包囲できる人数が足らなくなってしまったのじゃ。だからおぬしらの中から一人出さなくてはならんのじゃ。」
熊谷「それでしたら拙者は遠慮しておきます。何しろ毛利に攻め込めば敵の間者がうようよいて、わしのような新参者はつけ込まれやすいからな。」
天野「ふむ、それではしかたないな。では誰を出そうかの。」
吉見「それでしたら涼子姫が適任かと。城を囲むだけなら大軍は必要ないし、何しろ敵の計略にあっても絶対に寝返る心配はないですぞ。」
天野「ほう、それはよい意見だ。内藤、そなたはどう思う?」
内藤「私も賛成です。それに私は輸送隊の方が性に合ってますから。」
涼子「ついにあたしも初・体・験ね(うふっ)」
一同「・・・・・・・」
天野「おほん、それでは私と共に涼子姫を援軍に出し、内藤殿は兵糧と予備兵の輸送を担当する。吉見殿と熊谷殿はじきに帰ってくる御館様を待って指示に従う。以上でよろしいか?」
一同「おう」
天野「では軍議を終わる。皆の者ご苦労であった。」

 早速出陣していく天野隊と涼子隊。後ろには内藤指揮の輸送隊がついてきています。そこに飛び込んできたのが百地配下の伝令。曰く、

「現在陶殿は山中の砦にて孤軍奮闘中。百地軍は吉川元春と互角の戦いをいたしております。それと吉田郡山の兵糧は完全に底をついたようです。」

 ついに敵の兵糧が尽きたようです。ここから一気に吉田郡山を包囲したいところですが、果たして陶軍と百地軍は生き延びることができるのか、また包囲が完了するまで敵に商人が訪れないだろうか、以上の不安を秘めつつも、続きは次回のお楽しみ。(笑)

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次回予告

 ボロボロになった大内軍が進軍すると、そこには全国でも有数の堅城が立ちはだかっていた。城内は不気味な静寂に包まれているが、毛利はこれからどんな動きを見せるのか、そして、大内家の援軍は果たして攻囲に間に合うのか。そして毛利居城を落城させることができるのか。
 次回将星録大内リプレイ「包囲」お楽しみに。

クリスタルロッドさん

将星録 大内リプレイ 第6回

将星録 大内リプレイ 第6回

 皆様方にはずいぶんとご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。正月休みも過ぎ、執筆可能な時間が取れましたので、これからじゃんじゃん書いていきたいと思います。
 それではごゆっくりお楽しみ下さい。

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支城攻防戦−1566年3月

 緊迫の戦陣は続く。現在戦場にあるのは、大内軍が百地三太夫(吉川元春と対峙中)と陶晴賢(ボロボロになり支城に籠もっている)の2部隊。毛利軍は吉川元春、吉川元長、穂井田元清の3将が出陣している。うち吉川元長と穂井田元清は陶の籠もる支城へと向かっているようだ。現在毛利家は吉田郡山城の兵糧が完全に底をついて、援軍を出せない状況であり、大内家は天野隆重と大内涼子が援軍に来つつあるところだ。
 今月は大内家に先に順番が回ってくる。そこで百地軍は吉川元春を横から攻撃する。これは先ほどの戦闘で元春本隊が先頭正面にいたのを確認しているので、後ろに回り込むとかえって防備が厚いことが分かっているための措置。しかも先の戦闘で集中的に攻撃した側から横撃したので、最初のターンで本隊に肉薄し、さらには本隊を混乱させることに成功。次のターンに多少の反撃を受けたがそのまま本隊を攻撃し続け、なんとか元春を退ける。陶軍の方は正面に吉川元長が立ちはだかっているため、支城から出られずそのまま待機。
「むうっ」
動けない状況に歯がみする陶晴賢。しかし今は支城に籠もるのが最善の策だからしかたがない。
 毛利家の番。後ろにいた穂井田元清が先に陶軍に襲いかかる。陶は支城の高い防御力に守られて、穂井田の部隊を1つずつ追い払っていく。そしてここで引き分けに持ち込めば吉川元長に攻められなくて済むのにもかかわらず、つい調子に乗って穂井田の本隊を全滅させてしまう。残り2部隊となったボロボロの陶軍に無傷の吉川元長軍2500が襲いかかる。陶絶体絶命のピンチ。
 しかし天は陶に味方した。晴天が続いたのだ。軍記物語の「雑兵物語(10等級)」を持つ陶は火矢を次々に吉川軍に放ち、前衛の2部隊に運良く火がついた。元長は陶本隊に弓矢攻撃をしてきたが、3回中2回も払い落として、ダメージを最小限に押さえることができた。次のターンも陶軍は火矢攻撃をして、更に1部隊火だるまにして、もう1部隊は雷撃(笑)で混乱させることができた。こうなったら陶軍のペースなのだが、残念なことにもう陶軍には200と400の兵しか残っていないので、1部隊を全滅させるくらいが精一杯なところ。ここは欲張らず、吉川元長の全部隊を混乱or火だるま状態にして引き分けに持ち込むのが良いとして、火矢を放ち続ける。その途中で混乱から立ち直った元長隊から陶本隊に弓が飛んできて、陶はそれを払いのけられずに、本隊は残り数十人になるという危険な状態に陥ったが、すぐにその敵部隊を火だるまにして、なんとか引き分けに持ち込むことに成功した。
 次のターンには百地軍が吉川元長の後方から攻撃してあっという間に蹴散らし、戦場から毛利軍が消滅したため、陶軍と百地軍は合流することができた。
「陶様。やっと片づきましたぞ。」
「おお、百地殿。もう生きて会えないかと思ったぞ。」
薄氷の勝利に涙ぐむ陶晴賢。彼の軍勢はもう500程しかいない。百地軍の方も残り4部隊で兵士数は半分ほどに減っている。しかし毛利軍は兵糧切れで城から出られない状態なので、ひとまずは安泰といったところ。
 援軍の天野と涼子姫の軍勢が遠くに見えてきた。いよいよ吉田郡山城を包囲することができるのだ。陶は期待に胸を膨らませ、吉田郡山城へと向かう。
(以下次回へ続く)
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次回予告

 今回の「支城攻防戦」が予定よりちょっと量が多くなってしまったので、前回の次回予告が今回のと同じになります(笑)。
 ということで、次回将星録大内リプレイ「包囲」お楽しみに。

クリスタルロッドさん

将星録 大内リプレイ 第7回

将星録 大内リプレイ 第7回

 先回は白熱の野戦をお送りしましたが、今回ついに城攻めに入ります。毛利元就が本丸にて防戦する吉田郡山城がどんなに手強いか、皆さんよくご存じかと思います。さて我が大内軍はいったいどんな手で攻略するでしょうか。(「兵糧攻めに決まってるでしょ」という声が聞こえてきそうですが・・・(^^;))
 とゆうかこの戦は元々兵糧攻めだったから、この方針を貫くことが基本方針なんですがね。
 それでは「将星録 大内リプレイ 第7回」 ごゆっくりお楽しみ下さい。

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包囲−1566年5月

 半年近くに及んだ毛利軍との野戦にケリが付き、静まり返った吉田郡山城に向けて進軍する百地三太夫軍と陶晴賢軍。百地軍は兵の半分を失い、陶軍に至っては残り五百程度にまで損耗した状態となっています。それでも陶は兵を叱咤して、
「それっ、城に取り付けー!」
と大音声で叫ぶのだが、兵士たちは、
「・・・ぉぉっ・・・」
人数が減ってなんだか元気がないようです。それでも敵城の西側に布陣しました。百地軍も城の南側に着陣して、援軍を待ちます。
 もしここで吉田郡山城に商人が来て兵糧を買い入れれば、毛利軍が出撃してきてあっという間に駆逐されてしまうでしょう。でもまだ城内の兵糧は0のままなので、誰も出陣できない状態となっています。援軍が来て包囲が完了するまであと2ヶ月。果たして運は大内家に味方するでしょうか。

 1ヶ月経ちました。頼もしき援軍がすぐそこにやってきています。天野隆重の3750人と、涼子姫の2500人です。
天野「待たせたな。もう安心せい。」
涼子「やっほー、援軍だよー。」
「おおっ、待ちかねたぞ。」
天野「援軍はわしらだけではなくて、弘中様も修行が済んでこちらに向かわれておりまするぞ。あと小荷駄隊ももう少しで来るはずだ。」
百地「これで我らも一息つけるということだな。ありがたい。」
「しかし油断はできないぞ。城を完全に包囲するまであと一月かかるから、その間に毛利の襲撃があるかもしれんぞ。」
涼子「晴ちゃんの軍勢ぼろぼろだもんね。三ちゃんも半分しかいないし。」
「その晴ちゃんというのはやめてくれー。」
涼子「ほらほらちゃんと見張ってないと毛利が攻めてくるぞー。」
「・・・はいはい分かりましたよお姫様。」
涼子「返事は一回でいいの。」
「・・・はい(何で俺がこんな目に・・・)」

 そのころ吉田郡山城では、城内に待機していた武将7人中5人がいなくなったようです。何か怪しげな計略でもたくらんでいるのでしょうか。しかし兵糧は補給されず、軍勢の出撃はありません。

 ついに2ヶ月経ちました。天野と涼子姫の軍勢が敵城の北と東に着陣し、包囲が完成です。「将星録」ではよほどのことがない限り、包囲してしまえばもう勝利は確定的になるのです。それで早速祝宴の準備をする武将たち。しかし・・・

弘中「ぶわっかもーーん! 何をたるんどるか貴様ら!」
「あっ弘中様お早いお着きで。」
弘中「わしも移動力の修行が済んだのじゃ。」
百地「ところで小荷駄隊の方は?」
弘中「途中で追い抜いてきたわ、がっはは。」
天野「ところでわしら4人で城の包囲は完成してるんだが、弘中様はどうなさるのかな?」
弘中「わしは予備軍として周囲の警戒を行い、城攻めの時は第二次攻撃隊として突入する。ちなみに第一次攻撃隊は天野、おぬしの役目だぞ。」
天野「ひょっとしてまたわしは当て馬なのか?」
弘中「そうだな。姫ではちょっと力不足だし、陶殿と百地殿は最終決戦で使うからな。結局おぬしが一番適任なのだ。わかってくれ。」
天野「それならば仕方がない。」

 なんだかんだいっても、結局弘中が来ると大内軍は統制が取れるようです。城攻めのプランもできて、いやがおうにも戦意は高まります。

 また2ヶ月経って、内藤隆春の小荷駄隊が到着しました。大量の武器食料予備兵を連れてきて、これによりぼろぼろの陶軍と百地軍は完全に再編成され、いつでも戦える状態になりました。しかしまだ吉田郡山城には何千もの兵が残っています。あと何ヶ月したら攻め込める状態になるのでしょうか。

 半年経ちました。さすがにこれだけ長期戦になると全軍の気がだれてくる頃です。そんなとき、毛利の魔の手が、

涼子「きゃー、何これ。あたしのパーティーが台無しじゃない。」

と、カラオケパーティー中の(笑)涼子姫の部隊を襲います。聴衆の兵士が混乱してしまっては歌っても面白くないのでしかたなく兵士をまとめようとする涼子姫。そこに弘中隆兼の予備隊が駆けつけ、1ヶ月でなんとか混乱は収拾できました。
 それとは対照的に吉田郡山城では、毎月何千人もの兵士が餓死していきます。いや実際にはあまりの空腹に脱出してくるのを逃がしてあげてると思いたい所なんだけど・・(^^;)

 一年経ち、城内の兵士が1000人を割りました。ここで弘中は諸将を集め軍議を開きました。

弘中「落城まであと一歩というところまで来たが、現状で攻め込んでも毛利元就の500人の兵に全滅させられることは必至じゃ。それで、敵城の兵士数を500人より充分に少なくする必要がある。そこでじゃ。来月に第一次攻撃を行い、敵兵をぴったり500人にする。そしてさらに3ヶ月ほど待ち、敵が200人程になった所で全軍総攻撃に入る。」
天野「第一次攻撃はわしの役目じゃな。」
弘中「おう、お願いいたす。」
弘中「他の者は、3ヶ月後の総攻撃に備えて待機。それでは皆の者よいな! 武運を祈るぞ。」
一同「おう!」

 一月後、天野隆重が吉田郡山城に突入します。城を守るのは、本丸に毛利元就の500人、二の丸に吉川元春の243人の2部隊です。天野はこのうち吉川元春の部隊を全滅させなければなりません。勢いよく突入していく天野軍ですが、さすがに堅固さを誇る吉田郡山城とあって、二の丸の門を開き終わるのに12ターン消費してしまいました。
 二の丸を守るは猛将吉川。しかし人数が少なく、我が天野軍を2部隊突入させて、あっという間に血祭りにできました。これで目的は達したのですが、少しでも城にダメージを与えるために、本丸への攻撃を試みます。
 敵のターンです。本丸から毛利元就が一方的に弓攻撃をしてきます。なんとこのターンだけで2部隊全滅してしまいました。恐るべし毛利元就。
 更に2部隊を二の丸に投入して本丸への門を攻撃します。しかしまだ門はびくともしません。本丸からは容赦なく弓が降り注ぎ、2部隊で1500人いた兵がたった67人になってしまいました。次のターンはこの小人数で門を攻撃し、あと少しで開門というところまでいきました。そしてこの67人にも500本の弓が突き刺さる・・・
 最終ターンになり、最後に残った750人の本隊で突撃をかけます。門が開いたところで時間切れとなり、天野は退却しました。

 更に3ヶ月経ち、城内の兵士が204人になったところでいよいよ総攻撃です。今度は弘中が門を叩いてから百地が忍者技能で門を開くというパターンで、あっという間に本丸の門を開きました。ここで陶の部隊が突入して、本丸に放火。毛利元就を巻き込んで本丸が赤々と炎上します。ここで更に追い打ちをかけようと思ったら、

涼子「わーい! ファイヤーファイヤー!!」
「姫! ここは危ないですぞ。すぐにお下がり下され。」
涼子「えーい、あたしもファイヤー!」

涼子姫の放火部隊が本丸に近づこうとするが、猛火に阻まれて果たせず、結局火事場の野次馬と同様になってしまいました(笑)。 しかしこれで本丸は焼け落ち、吉田郡山城はついに落城しました。

 落城したときに城内にいた武将は毛利元就、穂井田元清、毛利輝元の3人です。彼らを全て捕らえて、総大将弘中隆兼の元に引き出されてきました。

 まずは穂井田元清です。穂井田は、
「この首を持って末代までの武功とせよ、さ、早う」
と言っていたのに、弘中や天野が懸命に説得したところ、
「よかろう。では食い物を・・・」
と、あっさり前言を翻して大内の家臣となりました。
 続いて毛利輝元の番です。名家毛利の御曹司ということで興味を持った涼子姫が説得に当たると、
「過去を捨てて大内家のために尽くしましょう」
と言って、あっさりと家臣になりました。
 最後は毛利元就です。超大物を相手に、誰が説得しようかと思案していたところ、
「そちが元就か。良い面構えをしておるのう。」
といって大内義長がやってきました。ここで義長は、
「これから我が大内家は九州に進出することになる。今は兄のいる大友家とは同盟を結んではいるが、機を見て同盟を破棄して大友を滅ぼすつもりである。そちにとっても大友は宿敵であろう。どうじゃ、わしのもとで大友を滅ぼし、九州、そして全国制覇の仕事をしてくれんか?」
といって説得すると、元就は、
「義長殿に惚れ申した!義長殿のためなら犬馬の労も厭わぬ所存」
と言い、ついに毛利元就も家臣の列に加える事に成功しました。そして元就には、我が軍への忠誠を高めてもらうために、以下の賞与を与えました。

 官位 正五位下 大蔵大輔(←従五位上 右馬頭から昇格)
 家宝 兵装品  金陀美具足 3等級
    医術書  医書大全  2等級
    忍法秘巻 忍術書   10等級
    軍記物語 陰徳太平記 8等級(←元から所持していたもの)
 こうして吉田郡山城は大内家のものとなり、また毛利元就も家臣に加えて、いよいよ大内家も大大名と言うべき陣容となりました。そして大内義長は山口城に戻り、吉田郡山城には涼子姫を城主に任命しました。

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次回予告

 ついに大内家は九州に進出する。大友との同盟を継続しつつ龍造寺に挑む我が大内家を待ち受けるものは何か?そして毛利の降将たちの出番はいつになるのか?
 次回将星録大内リプレイ第8回「(タイトル未定)」お楽しみに。
クリスタルロッドさん

将星録 大内リプレイ 第8回


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